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狭心症と心筋梗塞を予防するためには【循環器内科医による解説】

[2022.07.12]

 

狭心症と心筋梗塞を予防するためにはというテーマで解説していこうかと思います。

 

はじめに



まず狭心症と心筋梗塞、この2つの病気は心臓の血管の病気です。心臓の外側の血管である冠動脈と呼ばれる血管に血液が流れていて、心臓の筋肉に酸素や栄養を送っています。冠動脈が狭くなってしまうのを狭心症、冠動脈が詰まってしまうのを心筋梗塞と呼んでいます。狭心症と心筋梗塞はどちらも動脈硬化によっておきます。動脈硬化の中でも、血管が狭くなってしまう動脈硬化です。

これが動脈硬化を起こしてる血管の断面になります。赤い丸が元々の血管の大きさなんですけど、黄色い部分はコレステロールの塊が血管の壁に沈着してしまっています。それによって血管の内腔、血管の内側の血液が流れるスペースが狭くなってしまっています。では動脈硬化を起こさないためにはどうすればいいんでしょうかというのが今回の動画のテーマです。

 

狭心症と心筋梗塞の予防のために

狭心症と心筋梗塞の予防のためにはこの4つが大事です。

  1. 食生活改善
  2. 運動
  3. 禁煙
  4. 薬の治療(生活習慣病に当てはまる方)

生活習慣病とは高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病になります。この4つが挙げられます。

 

1.食生活改善

狭心症や心筋梗塞を防ぐ、これがいいというような魔法の食材はありません。あくまでバランスが大事です。一般的に言われていることとして

  • 減塩 塩分を控えましょう
  • 脂肪や糖質の摂りすぎを控えましょう
  • アルコールの飲み過ぎを控えましょう

という3つが挙げられます。ここまで皆さん聞いたことはあると思うんですけど、じゃあ具体的にどういった食生活がいいのかについて話していこうかと思います。まず食生活を大きく変えるのは難しいです。食事は文化であって、何十年も食べ慣れていた食事を大人になってから大きく変えるのは難しいです。この文章を読んでくださってる方は日本人がほとんどだと思うんですが、日本の和食は世界的な評価が高い健康食の1つです。魚類や野菜、豆類、海藻、きのこが多く、栄養バランスに優れています。昔の日本では狭心症や心筋梗塞が今より非常に少なかったと言われています。今でも日本は狭心症や心筋梗塞が少ない国のひとつです。ただ和食の唯一の欠点としては、塩分が多いことです。日本食はしょっぱいものが多いです。通常の日本の食生活に慣れた方にとって狭心症と心筋梗塞の予防のための理想的な食事としては、減塩した伝統的な和食がベストだと思います。

 

2.運動

有酸素運動、汗がにじむくらいの早歩きやジョギング20分以上、3回で行うことが心臓にとって良い有酸素運動です。最近になって筋トレなども同様の効果が見込めるとされています。筋トレなどの無酸素運動は、短時間で筋肉に負担をかけることができます。短い時間でより効率的に行うことができます。

ここからは個人的な考えですが、「20分以上、週3回」といった細かい数字にとらわれる必要はあまりないのではないかと思います。とにかく『運動習慣をつけて定期的に運動すること』が一番です。運動の種類も特に問いません。例えばジムに行って筋トレをする、ウォーキングをする、ジョギングをする、テニスやバドミントン、水泳などどういった種類でも大丈夫です。個人によって向き不向きがありますし、筋力も違います。腰や膝の関節の痛みを抱えていることもあります。それぞれがしっかり続けられるような運動を行いましょう。もう1つ大事なのは楽しむことです。楽しめないと長く続けることは難しいです。

私自身も20歳くらいの頃はあまり運動をしてなかった時期が数年間ありました。医師として働き始めて「運動を続けないと健康に歳をとるのは難しい」ことに気付いてマラソンを始めました。水泳を行ったり今はジョギングや水泳を定期的に行っています。

 

3.禁煙

喫煙、つまりタバコは心臓病や肺がん、肺気腫、食道がんといった病気の原因になります。今回は心筋梗塞についてなので心筋梗塞について話します。

1日タバコを1-14本を吸っている方は、タバコを吸ってない方に比べて心筋梗塞のリスクが3.2倍になります。15-34本だと3.6倍、35本以上だと4.4倍になります。概ねタバコは心臓病のリスクを3-4倍にします。ここで注目すべきは、少ない量であっても3倍程度のリスクになっている点です。タバコを減らすというのではあまり効果は見込めなくて、タバコを完全にやめることが大事です。何歳になっても禁煙の効果はあります。禁煙を5-10年程度行うと、ほぼ喫煙者と同等のリスクになる とされています。またこれは心臓ではなくて肺の呼吸機能の問題ですが、24時間、つまり1日禁煙すると呼吸機能が24時間で改善します。数日すると痰や咳も減ってくるというのが実感できると思います。禁煙するのに手遅れということはありません。この文章を読んで頂いている方は狭心症や心筋梗塞になりたくないという気持ちがあると思いますので、タバコを吸ってる方がいらっしゃいましたら是非禁煙してみてください。

 

4.薬の治療

生活習慣病の薬の治療は、狭心症や心筋梗塞の予防になります。

  • 高血圧症
  • 脂質異常症(高脂血症)
  • 糖尿病

この3つが生活習慣病です。糖尿病は少し症状が出ることがありますが、高血圧症と脂質異常症は基本的には症状に乏しい病気です。なぜ症状があまり出ないのに治療を行うかと言うと、生活習慣病は放置しておくと動脈硬化を起こすからです。この3つの病気に当てはまる場合は主治医の先生と相談して治療をぜひ検討してみてください。

 

まとめ

狭心症と心筋梗塞を予防するために大切なこと

  1. 食生活改善
  2. 運動
  3. 禁煙
  4. (生活習慣病の場合は)薬の治療

4つになります

以上狭心症と心筋梗塞を予防するためには でした。

 

狭心症や心筋梗塞、動脈硬化について下記のページでも解説しています。よければお読み下さい。

狭心症、心筋梗塞

血管が狭くなってしまう動脈硬化

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