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脳卒中(脳梗塞、脳出血)

脳卒中は、脳梗塞と脳出血を指します。どちらも緊急性が高く、生命に関わったり麻痺などの大きな後遺症を起こすことがあります。脳卒中は日本人の死亡原因として、がんと心疾患、老衰に次ぐ死亡原因の第4位とされています。脳卒中は突然生じる疾患ですが、病態を理解し予防することが可能です。脳卒中について下に解説します。

 

脳卒中とは

脳卒中とは脳梗塞と脳出血を指します。脳梗塞と脳出血は医学的には全く違う病態です。更にくも膜下出血や一過性脳虚血発作(TIA)という病態があります。いずれも後遺症を起こすことがある緊急疾患です。症状は脳の障害される部位により様々ですが、一般的には

  1. 麻痺:右や左の手足が動かなくなる
  2. 呂律障害:うまく言葉が話せなくなる

という症状が突然生じた場合は脳梗塞や脳出血が強く疑われます。

 

脳卒中の原因

脳梗塞や脳出血、TIAは動脈硬化疾患であり、特に高血圧症との関連が大きいです。生活習慣病のコントロールが予防に繋がります。一部の脳梗塞は心房細動という不整脈が原因になります。くも膜下出血は他の脳卒中とは異なり、原因のほとんどを脳動脈瘤が占めます。脳動脈瘤は脳ドックで日本人の5%に見つかるとされています。

 

脳梗塞

脳梗塞は脳の血管が詰まってしまう病気です。詰まった血管が流れている部分の脳神経細胞が壊死してしまい、様々な症状が起こります。脳のどれくらいの範囲が障害されるかによります。心房細動による脳梗塞では脳の広い範囲が障害されることが多く、心房細動による脳梗塞を生じると50%の方が1年以内に亡くなってしまうとされています。当院では脳梗塞の予防のためにも、心房細動の診断と治療に力を入れています。

心房細動

心房細動以外の脳梗塞は、動脈硬化により生じます。脳の血管が詰まった部位により、麻痺(体の片側が動かなくなる)、呂律障害(うまく言葉が話せなくなる)、半側空間無視(片側だけ見えない)、ふらつき、めまい といった症状を来します。特に麻痺と呂律障害は脳梗塞に特徴的な症状です。

脳梗塞は一刻も早く診断治療が必要な病気です。脳梗塞の治療は薬物治療が中心になります。発症4.5時間以内であれば詰まった血の塊を溶かす治療が適応になることもあります。CT、MRI検査で診断を行います。疑わしい場合は早急に治療可能な医療機関への搬送を手配します。

 

脳出血

脳出血は脳の血管が破裂し出血する病気です。血液が脳を圧迫することにより、様々な症状を来します。主に高血圧が原因となります。高血圧症の治療は確実に脳出血の予防になります。

高血圧症

脳出血は麻痺や呂律障害を来すことが多く、症状のみでは脳梗塞と見分けることは困難です。出血量が多いと意識障害などをきたすこともあります。そのため脳梗塞より重症であることも多いです。治療は出血している部位や量によっては、手術を行うことがあります。CT, MRI検査で診断を行います。疑わしい場合は早急に治療可能な医療機関への搬送を手配します。

 

くも膜下出血

くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂により生じます。脳卒中の中で最も重症であり、くも膜下出血を生じると約1/3の方が死亡、約1/3の方が重い後遺症、約1/3の方が社会復帰可能とされています。女性の方が多い疾患であり、30歳代や40歳代の方に生じることもあります。典型的には「突然バッドで殴られたような激しい頭痛」です。出血量によっては意識障害をきたす場合もあります。麻痺や呂律障害などを来すことは多くありません。

脳動脈瘤は血圧や喫煙が関与しています。ただ遺伝性要因などがあり、比較的若年者でも生じることがあります。MRIで脳動脈瘤が無ければ、当面はくも膜下出血が生じる可能性は低いです。脳動脈瘤は大きさや場所により、破裂のリスクが高ければ事前に治療することも可能です。その場合は治療可能な医療機関に紹介します。

 

一過性脳虚血(TIA)

一過性脳虚血(TIA)とは、一時的に脳の血流が低下し自然に回復する病気です。症状は麻痺、呂律障害などであり、多くは数分から15分程度で自然に改善します。『脳梗塞の一歩手前』と考えられており、放置すると一定の確率で脳梗塞に移行します。疑わしい場合はまず治療を行います。脳梗塞への移行を防ぐため、血液サラサラの薬などを投与します。その上で検査を進めていきます。心電図や心エコー、頸動脈エコー、MRIなどで脳梗塞の原因を検索します。検査結果を元に今後の治療を相談していきます。

 

脳卒中と認知症

脳卒中は認知症の原因になります。脳卒中による認知症を脳血管性認知症と呼びます。当院では脳卒中の既往がある75歳以上の方は年に1回認知機能の検査を行っています。下の認知症のページをお読み下さい。

認知症

 

最後に

脳卒中はかつて日本人の死因第1位でした。塩分摂取過剰であることと、高血圧症という概念や治療がなかったため、多くの方が脳出血で亡くなりました。高血圧症の治療により脳出血は大きく減りました。現在は脳卒中は死因の第4位であり、老衰より少ないとされています。脳出血が減った一方、高齢化社会に伴い脳梗塞は増えています。社会全体として脳出血の救急治療から、脳梗塞の慢性管理にシフトしています。

当院では脳卒中の方の生活習慣病や、合併することの多い心疾患、認知症などに包括的に対応するよう努めております。お困りの際はぜひ受診ください。

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