メニュー

心房細動

心房細動とは、脈がバラバラになってしまう不整脈です。心房細動は症状が無くても必ず精密検査や治療が必要な疾患です。

 

心房細動とは

心房細動は人口の約1%、80歳以上の約10%が罹患していると言われています。高齢化に伴い日本では心房細動を有する方が増加しています。現在日本では100万人の心房細動の方がいらっしゃると言われています。心房細動は高血圧症や糖尿病、喫煙、肥満、高齢、心臓病といったものが関与しています。通常は複数の項目が関与しており、これといった原因がないことが多いです。当てはまる項目が無いにも関わらず心房細動が生じることもあります。

心房細動の一番の問題は脳梗塞の原因になることです。脳梗塞の予防のために血液サラサラの薬(抗凝固薬)を内服することが多いです。ただ心房細動の理解が不十分であるためか、必要な薬や治療を受けていない方が一定数いらっしゃいます。日本の心房細動の方の2-3割、20-30万人の方が必要な治療を受けていないと推定されています。心房細動による脳梗塞は、重症であることが多いです。心房細動でできる血の塊は大きく、より太い血管が詰まってしまうことが原因です。脳の機能が大きく損傷を受け、寝たきりになってしまったり食事を食べる機能を失ってしまうことが多いです。心房細動による脳梗塞を起こすと、約50%が1年以内に命を落としてしまうというデータもあります。これを防ぐために心房細動の早期発見と治療に取り組んでいます。

心房細動はしっかり発見することが大事です。日本循環器学会のガイドラインでは65歳以上の方に定期的に脈を測ったり心電図を行うよう推奨されています。

心房細動は、心房という心臓の部屋の中で電気の流れに障害が起き、心房がうまく働かなくなる疾患です。最初は発作性心房細動と言って、たまに心房細動になり自然に止まる発作を生じます。徐々に心房細動の頻度や時間が長くなり、そのうち心房細動が持続します。これを持続性心房細動と呼びます。心房細動には3つの側面があります。①自覚症状、②脳梗塞のリスク、③心不全のリスク という3つです。この3つに加え、併存疾患の治療を考えながら心房細動診療を行なっています。それぞれについて解説します。

 

①自覚症状:動悸や胸痛など

自覚症状はある場合とない場合があります。自覚症状がない方はこの項は飛ばして頂いて構いませんが、自覚症状がなくても他の部分は必ず読んでください。自覚症状がない心房細動も、自覚症状がある心房細動と同様に脳梗塞の原因となります。

下のページで解説しますので、心房細動で症状がある際はお読み下さい。

心房細動の自覚症状

 

②脳梗塞のリスク

心房細動は脳梗塞の原因になります。脳梗塞のリスクを必ず評価しています。血液サラサラの薬で予防しますが、国際的にいくつかの基準が提唱されており当院ではそれに従い治療しています。心房細動と診断された方は下のページを必ず読むようお願いします。

心房細動と脳梗塞

 

③心不全のリスク

心房細動は他の心疾患によって生じることがあります。特に心不全の初期症状が心房細動であることがあります。心房細動の際は、必ず心臓についての各種検査を行なっています。

心房細動により心不全が生じる際は、最も大切なのは脈拍です。適切な脈拍数を保つことにより、心不全のリスクを抑えることができます。心房細動が持続している場合は、脈拍数90回/分を目標として脈拍数のコントロールを行います。脈拍数のコントロールのためには脈拍を抑える薬剤を使用します。薬剤が効きすぎてしまうと、脈が遅くなることもあります。定期的に心電図検査や24時間心電図を行い、薬剤を調整しています。

 

心房細動の治療

心房細動に対して、カテーテルアブレーションという治療法があります。カテーテルという管を血管から心臓に挿入し、異常な電気が出現する部位を治療する方法です。入院し治療を行う必要があり、その際は治療可能な医療機関に紹介しています。

今まで私が主に書いてきた治療は、「心房細動を受け入れながら合併症が起きないような治療法」です。心房細動自体に対して薬を使う、つまり心房細動が出現しないようにする治療というものもあります。その際は抗不整脈薬という薬剤を使用します。抗不整脈薬自体のリスクがあり、大規模な研究では心不全を増やすようなリスクが示されています。そのため当院ではごく限られた場合のみしか抗不整脈薬は使用していません。

心房細動の方の中には、「心房細動を受け入れられない方」が一定数存在します。心房細動の症状が強い方や、心不全を生じてしまう方が含まれます。こういった際は、カテーテルアブレーションを行なっています。入院や手術が必要ですが、心房細動の発作が減ることが多く非常に有用な治療です。発作性心房細動というたまに心房細動が生じるタイプであれば、8割程度の方がカテーテルアブレーションによりほとんど発作が生じなくなります。心房細動が持続している場合も、心房細動が持続して1年以内であれば発作性心房細動と概ね遜色のない治療成績とされています。

心房細動の症状が強い方や心不全を生じてしまう方はカテーテルアブレーションを絶対受けた方がいいですし、強くお勧めしています。症状が弱い方や、症状が全く無い方にも選択肢として説明をしています。この場合は将来的な脳梗塞や心不全を防ぐことが主な目的になります。患者さんの身体状態や考え方にもよりますので、個別にご説明します。

 

最後に

心房細動は不整脈の中でも①基本的に治療が必要、②数多くの患者さんが存在する という2点が特殊です。そして怖くなるようなことをこのページにたくさん書きましたが、心房細動の方は脳梗塞や心不全よりもがんで亡くなる方の方が多いと言われています。心房細動はきちんと治療すれば必ずしも予後に関わるわけではありません。心房細動の診療は心房細動のみに注目して心房細動を止める事だけに注力するより、その方の全体像をきちんと評価することが最も大事です。心房細動は心不全を合併している特殊な例を除き、クリニックで継続的に加療していくのがベストだと考えています。是非心房細動が心配、または心房細動と言われた際は当院へお越し下さい。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME