肥満、過体重
肥満、過体重は医学的にも社会的にも大きな問題であり、生活習慣病の1つと捉え当院で加療しています。WHOでも肥満については言及されており、当院では日本の保険診療や現状を踏まえて治療しています。保険適応の問題があり、保険適応外の治療が混在しています。以下に当院での診療を紹介します。
肥満とは
まず肥満という言葉の定義からです。日本肥満学会ではBMI 25以上を肥満と呼んでおり、WHOではBMI 30を肥満と呼んでいます。BMI 25-30は必ずしも健康被害を及ぼすとは限らず、また一律に治療が必要ではありません。当院ではBMI25-30を過体重、BMI30-35を肥満、BMI35以上を高度肥満と呼びます。これを読んでいる方は下の計算サイトから自身のBMIを測定してみて下さい。
BMI=体重kg➗(身長m)2
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228732
まず日本には肥満に対して保険診療で長期処方できる薬はありません。BMI25-30は高血圧症や糖尿病などの生活習慣病があれば、その疾患に応じて治療しています。逆に言えばBMI25-30で生活習慣病が無ければ医療介入は必要ないと考えています。BMI 30以上は明らかに健康被害を生じるため、BMI30以上というのみで治療を行っています。
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2830.html
(これを見るとBMI 19以下の痩せすぎも良くないのがわかります。)
BMI 30以上は特に心疾患や脳血管疾患が多いことがわかります。当院で行っている具体的な治療は下記になります。
①糖尿病の検索
糖尿病に対して保険適応となっている薬には、体重減少作用が報告されています。海外では肥満に対して使われている薬剤もあります。BMI 30以上の肥満の成立のためには糖分過剰とそれに伴うインスリン分泌が必要であり、糖尿病が合併している可能性があります。ブドウ糖負荷試験で糖尿病の有無を検査しています。BMI30以上かつHbA1c 5.7-6.3の場合はブドウ糖負荷試験で糖尿病の診断に至る可能性が高いです。
肥満に対して薬物治療を行う場合は、比較的長期に渡る治療が必要です。なるべく自己負担額を軽減し、長期に渡り治療を続けるために工夫しています。糖尿病ではない場合は、原則的に自費で行うこととなります。その時点で金額や治療の希望を併せて相談いたします。
薬剤の種類はSGLT2阻害薬、GLP1受容体作動薬の2種類です。
②栄養指導
BMI 30以上の際は栄養指導が適応になります。栄養指導は他病院と連携して行なっています。薬のみで改善できるケースは少なく、栄養指導は必須となります。
③運動療法
運動療法も必須となります。薬物治療と栄養指導は、摂取するカロリーを抑える治療になります。運動療法が欠けると、筋力が低下し健康的に減量することは不可能です。
運動には有酸素運動と筋力トレーニングがあります。一般的には、少しきついと感じるくらいの有酸素運動が推奨されています。例としてジョギングや水泳などが挙げられます。週3回、1回30分以上で効果があるとされています。近年は筋力トレーニングの有用性も報告されています。有酸素運動より短い時間で同等の効果があるとされています。仕事をされている方などは筋力トレーニングも選択肢の1つです。
おそらく肥満治療を受ける方は60歳未満の方が多いと思います。運動を生涯の趣味として継続することが理想です。細かい時間や方法論にこだわるより、運動を楽しみ継続できるよう支援しています。
④肥満手術
肥満に対しての手術であり、条件次第では保険診療となります。一般的には
BMI 35以上の高度肥満である |
高血圧症、脂質異常症、糖尿病のいずれかにかかっている |
6ヶ月以上の通院治療で改善がないもしくは不十分 |
という方が適応になります。これは決して楽して痩せれる治療ではなく、将来の健康被害を防ぐための治療です。当院で栄養指導などの治療を行った上で、改善がない場合は肥満手術が可能な施設に紹介致します。その際はご説明しますので、ご相談下さい。
BMI 30以下で美容的な理由で減量を希望される方へ
糖尿病や肥満ではなく、美容的な理由で減量される場合は自費診療となります。当院では健康上の問題からBMI20以下の方に対する処方は行なっておりません。自費診療の値段は下記になりますので、ご希望の際はご相談下さい。
SGLT2阻害薬●
GLP1受容体作動薬●