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胸痛

胸痛とは

胸痛は緊急性のある症状の一つです。胸部には心臓、肺などの主要な臓器があることが理由です。胸痛の中で緊急性の高い疾患として狭心症/心筋梗塞、気胸、肺塞栓症、大動脈解離、食道破裂があります。また原因不明の胸痛に悩んでいる方が多いです。胸痛の診療について記載します。

 

胸痛の診療

胸痛の時はまず心臓、肺の異常があるかを検索しています。心電図と胸部レントゲンで心臓、肺疾患の大部分は診断が付きます。胸痛の性状や時間、他の検査などで胸痛の原因を検索します。原因が全く無いことも稀ではなく、機能性胸痛と呼びます。機能性胸痛は頻度が高く、悩んでいる方も多いです。

 

胸痛の原因

大きく臓器別に考えます。

心臓 狭心症/心筋梗塞、急性心膜炎
気胸、肺炎、胸膜炎、肺癌、肺血栓塞栓症
上部消化管(食道、胃) 胃潰瘍、逆流性食道炎、食道破裂
大動脈 大動脈解離
筋骨格系(筋肉、肋骨) 肋軟骨炎、肋骨骨折
肋間神経 帯状疱疹、肋間神経痛
その他 機能性胸痛

特に重要なものについて解説していきます。

 

胸痛は様々な原因で起き、原因が検査ではっきり診断がつく場合とはっきりしない場合に分かれます。まず診断が検査ではっきりする場合です。

狭心症/心筋梗塞

狭心症は心臓の血管が狭くなった場合に起きます。典型的には狭心症の胸痛は労作時に生じ、安静にすると治ります。持続時間は1-10分です。心筋梗塞は心臓の血管が詰まった場合に起きます。心筋梗塞の胸痛は20分以上持続するとされ、左肩や顎の辺りが痛くなることもあります。1分未満、もしくは48時間以上続く症状は狭心症/心筋梗塞では起こりにくいとされています。心筋梗塞で受診時に症状が持続している際は、原則的に心電図で診断が付きます。狭心症で受診時に症状が消失している際は、心電図で異常を認めることも認めないこともあります。症状より狭心症を疑うが心電図で診断がつかない場合は造影CT検査を行います。下のページに解説していますのでお読み下さい。

狭心症、心筋梗塞

 

気胸、肺炎

気胸や肺炎で胸痛が起きることもあります。気胸は肺に穴が空く病気です。肺炎は肺に細菌やウイルスといった病原体が炎症を起こす病気です。肺自体には痛覚はなく、胸膜という肺の外側の膜に痛覚があります。肺炎の場合は胸膜まで広がった時に痛みが起きます。レントゲンでほとんどは診断が付きます。

 

胃潰瘍、逆流性食道炎

胃潰瘍や逆流性食道炎で胸痛が起きることもあります。胃潰瘍では食後の痛みで吐き気や食欲不振を伴うのが典型例です。胃潰瘍は胃カメラで診断を行います。胃潰瘍は胃癌と同様、ピロリ菌感染によるものが大部分を占めます。心臓や肺由来の胸痛でなくピロリ菌の検査歴がない場合は、胃カメラと必要ならピロリ菌除菌を行っています。逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流することにより生じます。典型的には胸焼けが生じます。食後、特に夕食後に横になった時に症状が生じやすいです。食べすぎや飲酒、肥満などが関わっています。胃カメラで食道炎が見つかれば確定診断となります。また胃薬を2週間ほど使用し効果を試すという診療も行います。

 

大動脈解離

大動脈解離は、心臓から出て体の中心を走行する大動脈が裂けてしまう病気です。突然発症の猛烈な胸痛や背中の痛みを生じます。緊急性が高い疾患です。通常救急車で搬送されることが多い疾患であり、詳細な解説は割愛します。

 

ここまでが『検査ではっきり診断が付く胸痛』です。ここからが一般的に『原因不明』と言われることが多い胸痛です。当院ではこの原因不明な胸痛をわかりやすく説明し痛みを軽減するよう努力しています。

肋軟骨炎

肋軟骨炎は肋骨や肋軟骨の周囲の炎症です。当院では周囲の組織を含めて肋軟骨炎と呼んでいます。肋骨は胸郭を形成し、肺の外側にあります。何らかの原因で肋骨や肋軟骨、その周囲の組織に炎症が起きて生じた症状を肋軟骨炎と呼んでいます。外傷以外は原因不明と言われています。肋軟骨炎の胸痛の特徴は、圧迫や体の動作、深く息を吸うことにより増悪します。胸痛の範囲は限られており、両胸に起きることはほとんどありません。指で示せる痛みの点がある場合が多いです。

基本的には安静にして痛み止めで炎症が治るのを待ちます。咳をしている場合は咳を止めるのが一番の治療です。症状が長期化してしまう方が中にはいらっしゃるため、肋軟骨炎の診断がついた場合は痛み止めを1-2週間しっかり内服し炎症を抑えます。下のページで解説しています。

肋軟骨炎

 

帯状疱疹、肋間神経痛

肋間神経痛とは、肋骨に沿って走る肋間神経により生じる胸痛です。帯状疱疹は最も多い肋間神経痛の原因です。帯状疱疹の痛みは神経により生じるため、発疹が治った後もしばらく痛みが続きます。半年から2年程度痛みが続くこともあります。圧迫や体動による痛みはなく、ヒリヒリした痛みが持続することが多いです。両側の胸に起きることはなく、片側のみです。肋骨に沿った細長い範囲で痛みが起きます。この時は神経に作用する痛み止めで軽減します。

帯状疱疹以外の肋間神経痛はまれです。第一に神経の圧迫を考える必要があります。頚部や腰部では神経が圧迫を生じ頸椎症や腰部ヘルニアを生じることがありますが、胸部では圧迫が生じることはほとんどありません。

 

機能性胸痛

胸痛はあるが胸痛を生じる原因が見つからない場合を機能性胸痛と呼びます。胸痛で受診する方では機能性胸痛が最多です。悩んでいる方が多い疾患でもあります。下のページで解説しています。

機能性胸痛

 

最後に

胸痛は生命に関わる疾患で生じる症状です。時には迅速に診断し治療を行う必要があります。その一方で、生命に関わる疾患ではない方も多くいらっしゃいます。お困りの際はご相談下さい。

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