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健康診断で心雑音と言われたけどどうすればいい?

[2022.04.26]

 

健康診断で心雑音と言われたけどどうすればいい?ということについて解説していきます。心臓は常に規則的に動いています。「ドックンドックン」と音がしています。我々医師は健康診断で心臓の音を聞いています。心臓に異常な音が聞こえる事を心雑音と呼んでいます。

 

正常な心臓の音

まずこのドックンという音が何の音でしょうか?心臓にはいくつか部屋があります。部屋の間にはそれぞれ血液が通るドアがあり、このドアを弁と呼んでいます。

 

ドックンという音は心臓の弁が閉まる音です。心臓が血液を送り出すときは

①まず心臓の下側の部屋:心室に血液が入る

②心室が体や肺に血液を送り出す

という2つのプロセスがあります。心室の入り口の弁が閉じる時に「ドッ」という音がして、心室の出口の弁が閉じるときに「クン」という音がします。2つの音が連続して「ドックン」という音が生じます。この「ドックン」以外の音がすることを心雑音と呼んでいます。

 

心雑音がなぜ起きるのか

心雑音はなぜ起きるのでしょうか?心雑音が起きているときは2つのことが考えられます。

1つ目 心室に血液が入って出て行くという正常な血液の流れ以外の血流が、心臓の中で生じている。

2つ目 うまく心臓の血液が流れていない。例えば心室から体に血液が出ていく時に邪魔なものがあってうまく血液が通れない。

この2つの場合に心雑音が生じます。

 

心雑音の原因

具体的には心雑音を起こす病気はこの3つです

  1. 弁膜症
  2. 一部の心筋症
  3. 先天性心疾患(生まれつきの心臓病)

病気ではないのですが、4つ目に機能性(無害性)心雑音と呼ばれている病態もあります。それぞれについて解説していきます。

 

1. 弁膜症

弁膜症は心臓の部屋と部屋の間にあるドア、弁と呼ばれている組織がうまく働かなくなってしまうことにより生じます。弁がうまく閉まらなくて逆流してしまう、もしくは弁がうまく開かない 弁膜症ではこの2つのどちらかが生じます。

この図は弁がうまく開かない図ですが、弁がうまく開かないため狭い部分を血流が通ります。血液が狭い部分を通るときに心雑音が生じます。

 

2. 一部の心筋症

2番目は一部の心筋症です。心臓の筋肉が病的に肥大し壁が厚くなってしまうと、血液が通るの邪魔になってしまって心雑音を起こすことがあります。

 

3. 先天性心疾患

先天性心疾患とは生まれつきの心臓病です。

この図は心室中隔欠損症の図です。心室と心室の間の壁に穴が開いています。通常はこの穴はありません。心室中隔に穴が存在すると、この穴を通って血流が生じます。この血流は異常な流れであり心雑音を生じます。

 

4. 機能性(無害性)心雑音

この3つが心雑音を起こす病気なんですが4つ目に機能性心雑音と言われるものがあります。無害性心雑音と呼ぶこともあります。機能性心雑音は、心臓の壁に血液が当たったりすることにより生じます。実はこの機能性心雑音が一番多いです。機能性心雑音は無害性心雑音と呼ばれている通り、心臓病ではありません。特に体に害はありません。もちろん薬などの治療は必要ありません。

 

心雑音と言われた時は?

では心雑音と言われた場合は、医療機関ではどうしてるのでしょう?一般的には心臓の超音波の検査、心エコーを行います。上の4つのうちどれにあたるかを検査しています。弁膜症であれば定期的に経過観察を行ったり、治療を行ったりします。機能性心雑音であれば大きな心配はありません。

 

まとめ

心雑音の原因は

  1. 弁膜症
  2. 一部の心筋症
  3. 先天性心疾患
  4. 機能性心雑音

という4つがあります。一般的には心臓の超音波検査、心エコーで精密検査しています。健康診断で心雑音と言われたら、きちんと心臓の超音波検査(心エコー)を受けて、どの診断にあたるかをはっきり調べましょう。

以上、『健康診断で心雑音と言われたけどどうすればいい?』についてでした。

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