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脈が遅いけど大丈夫?【循環器内科医による解説】

[2022.06.27]

 

脈が遅いけど大丈夫?」ということについて解説していこうかと思います。

 

脈とは

まず脈とは一定の時間に心臓が拍動する回数を示します。手首で脈を測るのが一般的です。1分間で何回脈をうつか」を脈拍数と呼んでいます。健康診断での脈拍数の正常値は

50100/

です。脈が50/分未満のことを徐脈と呼びます。今回は徐脈について解説します。

 

 

徐脈の原因

脈は自律神経の影響を受けます。例えば運動すると脈が早くなります。寝ている時は脈が遅くなります。脈が遅くなる主な原因としては

  • 自律神経(副交感神経)の働き
  • スポーツ心臓(日常的に運動されてる方は脈が遅くなることが多く、スポーツ心臓と呼んでいます)
  • 一部の薬や電解質、ホルモンの異常
  • 脈が遅くなる不整脈

が挙げられます。特に脈が遅くなる不整脈について解説します。

 

正常な心臓の電気の流れ

不整脈の前に正常な心臓の電気の流れについて解説します。心臓はいくつか部屋があって上の部屋を心房と呼びます。上の部屋、心房から電気が生じて、電気が下の心室に向かって流れるのが正常な電気の流れです。それによって心臓が収縮しています。

 

脈が遅くなる不整脈

脈が遅い不整脈はこの3つがあります。

  1. 洞性徐脈
  2. 房室ブロック
  3. 徐脈性心房細動

それぞれについて解説します。

 

1. 洞性徐脈

1つ目の洞性徐脈は『電気の流れは正常だけど脈が遅くなる』ことです。洞性徐脈は自律神経の問題であることが多いです。食事をしてる時、トイレの時などは自律神経の働きで脈が遅くなります。洞性徐脈はほとんどの場合正常な自律神経の働きによるものであり、治療を行うことはあまりありません。

 

2.房室ブロック

心臓には心房という上の部屋と心室という下の部屋があります。房室ブロックは心房から心室への電気の流れがうまくいかない状態です。そのため心「房」と心「室」で「房室ブロック」と名付けられています。

房室ブロックは程度によっていくつかの分類があります。

  1. 1度房室ブロック
  2. 2度房室ブロック(Wenchebach型)
  3. 2度房室ブロック(Mobitz型)
  4. 3度(完全)房室ブロック

下に行くほど病気が重症です。1度房室ブロックは「少し電気の流れが悪い」という状態なんですが、3度房室ブロックは「全く電気が流れない」という状態です。

2度房室ブロック(Mobitz)3(完全)房室ブロック、この2つは意識を失ってしまったりするリスクが高いのでペースメーカーの治療が必要であることが多いです。逆に1度房室ブロックと2度房室ブロック(Wenchebach型)はあまり治療が必要であることは少ないです。1分間に40/分以下の高度な徐脈であったり、息切れ、めまい、失神などの症状を起こしたら治療が必要です。原則的には治療が必要であることは少ないです。

 

3.徐脈性心房細動

心房細動という脈がバラバラになってしまう不整脈が長期間続いて、脈がゆっくりになってしまう状態です。心房細動の治療を主に行うことになります。

 

もし健康診断などで脈が遅いと言われた方は、どれに当てはまるか確かめるようにしましょう。以上「脈が遅いけど大丈夫?」についてでした。

 

下のページで不整脈について解説しています。よければお読み下さい。

不整脈

心房細動/不整脈外来

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