突然死はなぜ起きる?
『突然死はなぜ起きる?』というテーマで解説していこうかと思います。
突然死とは
突然死とは、これまで通常の生活をしていて周りから見て健康に見える人が突然死亡してしまうことです。突然死には事故や自殺は含みません。
突然死の原因
突然死の原因は大きく分けて3つあります。
- 心臓の病気:心筋梗塞や不整脈、心不全など
- 脳や脳の血管の病気:脳出血やくも膜下出血など
- その他:大動脈瘤破裂や気管支喘息など
の3つです。心臓の病気と脳の血管の病気が突然死の大部分を占めます。特に一番多いのが心臓の病気です。心臓の病気による突然死、心臓突然死について解説していこうかと思います。
心筋梗塞
突然死の原因として一番多いのが心筋梗塞です。心筋梗塞を起こしてしまうと、現代の日本の医療をもっても3割の方が命を落としてしまうとされています。心筋梗塞は心臓の血管が詰まってしまう病気です。胸が痛いという症状をきたします。心筋梗塞を起こす方の半分は
前兆がありません。半分の方は前兆があります。心筋梗塞起こす1-2週間前に5分程度の胸の症状を起こすことがあります。
心筋梗塞は動脈硬化によっておきます。動脈硬化が起きるのには原因があります。高血圧症や脂質異常症、糖尿病、喫煙、遺伝的な要因 これらによって動脈硬化が進みやすいです。高血圧や脂質異常症、糖尿病、喫煙 どれにも当てはまらない方が心筋梗塞を起こすことは少ないです。
心筋梗塞は急に起こります。ただ急に運が悪く心筋梗塞になったように見えますが、実は動脈硬化はゆっくり進行しています。そしてある日とうとう血管が詰まってしまって心筋梗塞になります。高血圧症や脂質異常症、糖尿病の治療を行い動脈硬化を防ぐことが心筋梗塞の予防につながります。
不整脈
不整脈にはいくつも種類があります。特に心室細動、心室頻拍と呼ばれる2つの不整脈は命を落とすことのある危険な不整脈です。
こういう風に話すと『不整脈と言われたことがある』とおっしゃられる方が多いです。不整脈はいくつか種類があります。不整脈の大多数は命に関わることのない良性な不整脈です。不整脈と言われた事がある方はできれば自分が何という種類の何という名前の不整脈なのか知りましょう。不整脈の種類によって対応が全く異なります。
心室細動と心室頻拍というこの2つの命にかかわる不整脈は下の項目に当てはまる方に起きることが多いです。
- 心筋梗塞を起こした方
- 心不全で入院した事がある方
などに起きることが多いです。心筋梗塞も心不全を起こしたことがない方に心室細動や心室頻拍が突然起こることは極めて稀です。
心室細動、心室頻拍が起こると命を落としてしまうこともあります。心室細動や心室頻拍が数秒から数十秒で自然に止まることもあります。その場合は意識を失う失神を起こします。もしこの動画を見てる方が下のどれかに当てはまる場合は循環器内科を受診するようにしてください。
- 心筋梗塞や心不全を一回でも起こしたことがある
- 心電図で異常があると言われたことがある
- 意識を失ったことがある
の3つです。心筋梗塞や心不全を起こしたことがある方は、薬の内服や定期的な検査をしているはずです。もし何らかの理由で通院や内服を中断してしまった場合は、循環器内科をすぐにでも受診していただいた方が良いと思います。
健康診断などで心電図に異常があると指摘されることがあります。心臓の病気が見つかることもありますのでこういった場合は循環器内科を受診してください。
意識を失うのは突然死の前兆かも知れません。全ての意識消失は循環器内科医の診察を受けた方がいいと言われています。
その他の突然死の原因
他にも突然死の原因はいくつかあります。脳出血やくも膜下出血は突然死の原因になります。大動脈瘤破裂、大動脈解離、気管支喘息なども突然死の原因になりますが、比較的頻度は少ないです。
最後に
最後になりますが、突然死の半分以上は心臓突然死(心臓の病気による突然死)です。日本で年間6-8万人が心臓突然死を起こしています。突然死を予防するためには心臓病を早期に発見し対処することが大事だと思います。我々循環器内科医は、防げる突然死を防げるように日々診療を行なっています。
以上突然死についてでした。
心筋梗塞や不整脈、失神については下記で詳しく解説しています。よろしければお読みください。