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「診察室の血圧」より「家での血圧」が大事な理由

[2025.12.16]

はじめに

「健康診断や診察室で測ると、普段より血圧が高く出る……」

そんな経験はありませんか?

実は、血管の状態を正確に知るためには、緊張しやすい診察室での値よりも、毎日リラックスして測った「家庭血圧」の方が重要です。

高血圧治療のガイドラインでも、「診察室血圧よりも家庭血圧を優先する」と明記されています。そのため当院では、高血圧の患者さんやその疑いがある方には、ご自宅での血圧測定をお願いしています。

今回は、なぜ家での血圧測定がそれほど大切なのか、その理由と正しい測り方についてお話しします。

 

医師を悩ませる「2つのタイプ」

血圧には、測定する場所によって大きく分けて2つのタイプが存在します。これらを見極めるためにも、家庭での記録が欠かせません。

1. 白衣高血圧

病院に来ると緊張してしまい、一時的に血圧が上がってしまうタイプです。

もし「家での血圧が正常」であれば、基本的に降圧薬の治療は不要です。健康診断などで血圧が高いと指摘された場合、それが本物の高血圧なのか、この「白衣高血圧」なのかを見分けるために、最低でも1週間は家庭血圧を測定して判断します。

2. 仮面高血圧

こちらが医学的に一番厄介なタイプです。

「診察室では正常なのに、家や職場では血圧が高い」という状態を指します。

通常の健康診断や診察では「問題なし」と判断されてしまうため発見が遅れやすく、知らないうちに動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクが非常に高くなってしまいます。これを見つけるには、家庭血圧の記録しかありません。

 

「血圧手帳」は宿題ではありません

当院で診察のたびに「手帳を見せてください」としつこく(笑)お願いするのは、上記の理由があるからです。

手帳の記録は、決して先生に怒られないための「宿題の提出」ではありません。

あなたに最適な薬の量や種類を決めるための、最も信頼できるデータなのです。

最近ではスマホのアプリで管理される方も増えています。無料で記録でき、平均値の計算やグラフ化も自動でやってくれるので非常に便利です。紙の手帳でもアプリでも、ご自身が続けやすい方法で構いませんので、ぜひ記録を残すようにしましょう。

 

正しい血圧の測り方

せっかく測っていても、やり方が間違っていると治療の判断が狂ってしまいます。以下の「ルール」を守って測ってみましょう。

【いつ測る?】

原則は「朝」と「夜」の1日2回です。最低でも「朝」だけは測定するようにしましょう。

• 朝: 起床後1時間以内 / トイレを済ませて / 朝食・服薬の「前」に

• 夜: 寝る直前に

【どうやって?】

1. リラックス: 椅子に座って1〜2分安静にしてからスイッチを押します。

2. 姿勢: 背もたれに寄りかかり、足を組まず、腕の力を抜いてテーブルへ置きます(心臓の高さ)。

3. 回数: できれば2回測って、その平均値を記録しましょう。

【注意点:高い値も正直に】

血圧が高くても構いませんので、測定した値はそのまま記入してください。「変だな?」と思って測り直した場合は、測った値を全て記入してください。

たまたま血圧が1回高いからと言って、すぐに薬を増やすことはありません。あくまで平均値や傾向を確認して治療方針を決定します。

 

最後に

「今日は測るのが面倒だな」という日も当然あると思います。

飛び飛びでも構いませんので、ありのままの数字を手帳に残して見せてください。

血圧は個人差がありますが、寒暖差など季節によっても変動することがあります。「なんともないから大丈夫」と思わず、定期的に血圧を測定して、ご自身の体の声を聴いてあげましょう。

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