スポーツ心臓とは?【循環器内科医による解説】
スポーツ心臓について解説していこうかと思います。
スポーツ心臓とは
スポーツ心臓とは持久的な運動を長期間続けることにより起きる心臓の状態です。代表的な持久的な運動は
- マラソン
- 水泳
この2つです。
スポーツ心臓の特徴
スポーツ心臓の特徴はこの2つです。
- 心臓の筋肉(壁)が厚くなる。
- 脈がゆっくりになる。
持久的な運動を長時間続けると、心臓に負担がかかり心臓の筋肉が厚くなります。また持久的な運動を長時間続けると、運動している状態に体が慣れます。すると運動していない時に脈がゆっくりになります。
スポーツ心臓の診断
スポーツ心臓の診断は
- スポーツ心臓の特徴があるかどうか
- スポーツ心臓を起こすような運動歴があるかどうか
- 他の心臓病が否定的か
という3つから行います。スポーツ心臓の特徴は先ほど述べた心臓の壁が厚くなる変化や脈がゆっくりになる変化です。スポーツ心臓を起こすような運動歴は、数年以上の持久競技、代表的なものとしてはマラソンや水泳が当てはまります。他に考えられる心臓病が無いか というのも確認が必要です。
そしてもう1つ大事なポイントです。スポーツ心臓はスポーツによって起きる心臓の変化です。そのためスポーツを中断すると1年以内にスポーツ心臓は元に戻ります。ただスポーツ心臓を起こすのは、プロスポーツ選手やプロを目指しているマラソンランナーや水泳選手が多いです。そういった方に1年間スポーツを中断するのは容易な判断ではありません。個人的にはスポーツ心臓かどうかを調べるためにスポーツを中断してもらったことは無いです。
スポーツ心臓と言われたら
ではスポーツ心臓と言われたらどうすればいいのでしょうか?スポーツ心臓は心臓病ではありません。スポーツに体が適応した状態です。そのためスポーツ心臓に対して、薬などの治療を行うことはありません。
ただ1つ気を付けなければいけないのは、スポーツ心臓とスポーツしている人の心臓病の区別が非常に難しいです。特に肥大型心筋症などの心臓の壁が厚くなってしまう病気はスポーツ心臓と似ています。確実に診断するためには「1年間スポーツを止めて元に戻るかどうか」になりますが、1年間スポーツを中断する損失が大きいので通常はそういったことは行っていません。スポーツ心臓という診断であっても、心臓病であることが後にわかることがあります。そのため年に1回程度循環器内科医の診察と心電図などの検査を受けた方がいいと思います。
以上スポーツ心臓についてでした。