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徐脈性不整脈

A. 洞性徐脈、洞不全症候群

心臓の洞結節と呼ばれる場所から心臓の電気の流れが伝わります。この洞結節と呼ばれる場所の働きが低下してしまうと脈が遅くなることがあります。これを洞性徐脈、洞不全症候群と呼びます。心臓の脈は交感神経や副交感神経によって調整されています。例えば寝ている時は脈が遅くなり、運動しているときや緊張している時は脈が速くなります。洞性徐脈の原因は多くの場合は副交感神経の働きによるものであり、大きな心配はありません。ただ洞結節自体の機能が低下していることがあります。例えば起きている時に脈拍が40回/分を下回っているときは「確実に洞結節の機能が低下している」とみなします。洞性徐脈や洞不全症候群は、そのまま心臓が止まってしまうことはほとんどないと言われています。徐脈による症状をきたしている際に治療を行なっています。症状は疲れやすい、めまい、息切れといった症状であることが多く、当院では24時間心電図や心エコー検査を行なっています。また薬により徐脈をきたしていることもありますので、内服薬を確認させて頂きます。治療としてはペースメーカー植込みが唯一の治療になります。治療が必要な際は対応可能な病院に紹介致します。

 

B. 房室ブロック

房室ブロックとは、心房から心室からの電気が流れがうまくいかない疾患です。電気の流れが遅くなった状態を1度房室ブロック、電気の流れがたまに伝わらない状態を2度房室ブロック、電気の流れがほとんど伝わらない状態を高度房室ブロック、電気の流れが完全に伝わらない状態を3度房室ブロック(完全房室ブロック)と呼んでいます。

 

1度房室ブロック

心房から心室の電気の流れが遅くなる疾患です。脈が抜けたりすることはなく、症状をきたすことは原則的にありません。電気の流れが著明に遅くなると心臓に悪影響をきたすことがごくまれにあるため、心電図のみは行なっています。

 

2度房室ブロック

心房から心室の電気の流れがたまに伝わらない疾患です。心室に電気が伝わらないため、脈が抜けます。脈が抜けますが1回のみであるため、症状をきたすことは少ないです。2度房室ブロックは心電図により、Wenchebach型房室ブロックとMobitz型房室ブロックに分かれます。これは心電図で分かりますので、どちらに当たるか必ずお伝えします。Wenchebach型2度房室ブロックとMobitz型2度房室ブロックの違いは、電気が伝わらない原因の場所の違いにより起こります。Mobitz型2度房室ブロックは無症状であっても、失神などを生じるリスクが高いためにペースメーカー植込み術を考慮しています。逆にWenchebach型2度房室ブロックの場合は失神などをきたすことはほとんどなく、治療となることは少ないです。2度房室ブロックの場合は、24時間心電図や心エコー検査で脈拍数や他の心疾患の検索を行なっています。

 

高度房室ブロック、3度房室ブロック(完全房室ブロック)

心房から心室の電気の流れがほとんど伝わらない状態を高度房室ブロック、完全に伝わらない状態を3度房室ブロック(完全房室ブロック)と呼んでいます。どちらも脈が遅くなり、失神や息切れなどの症状をきたすことが多いです。どちらも原則的にはペースメーカー植込みとなります。

 

C. 徐脈性心房細動

心房細動は脈がバラバラになってしまう不整脈であり、正常な脈に比べて脈の変動が大きいです。多くの方は初期の段階では頻脈になりますが、長期間心房細動が持続した場合は徐脈になります。徐脈を改善させる有効な薬物はなく、必要であればペースメーカー治療を行います。めまいや息切れといった自覚症状がある場合や、起きているときに脈拍数が40回/分を下回っている場合はペースメーカー治療の適応となります。脈拍数の管理以外にも心房細動は治療が必要であり、詳しくは下のページで解説します。

心房細動

 

D. 徐脈頻脈症候群

徐脈頻脈症候群とは、頻脈性不整脈が止まった際に徐脈が生じる疾患です。ほとんどは発作性心房細動が停止する際に一時的に脈が飛ぶことにより起きます。なお3秒以内の脈の停止が症状をきたすことはなく、3秒以上脈が止まる場合に有意な脈の停止としています。症状をきたす脈の停止のほとんどは5秒以上です。徐脈頻脈症候群は、頻脈の薬物投与により徐脈が生じていることが多いです。徐脈も頻脈もきたさないちょうどいいバランスを見つけることになりますが、厳密な薬物調整が必要です。薬物調整が困難な場合は、ペースメーカー治療を行います。ペースメーカーにより徐脈になることはなくなるため、薬物を使って十分に頻脈の治療が可能となります。

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