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各種がんの検査

日本人は心疾患や脳卒中よりがんで亡くなる方の方が多いです。がんは定期的に検査することにより、早期発見や治療が可能となります。がん検診によりがんによる死亡率が低下することが実証されている主なものは胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がんの5つです。以下に当院で行なってる検査をがんの種類毎にまとめてあります。なるべく日常診療や自覚症状と組み合わせて保険診療で行うようにしています。

なおがんの検査を受けた方がいいか、どの検査を受けた方がいいか不明な場合は、下記のページのがん検診相談窓口の項でご説明いたします。

がん検診相談窓口

 

胃がん

胃がんは日本人に多いがんです。胃がんの発症にはピロリ菌感染が関与しています。ピロリ菌は幼少期に感染し、大人になってから新しく感染することは原則的にありません。衛生環境の悪かった頃に感染が多く、井戸水からの感染が多かったとされています。今は家族内感染であり、お母さんやお父さんから赤ちゃんへの口移しが感染の原因となります。今は日本人の大体半分くらいがピロリ菌に感染していると言われています。50歳以上はピロリ菌感染率50%程度、40歳で20%、20歳未満では10%以下です。自治体によっては中学生でピロリ菌の集団検診を行なっています。ピロリ菌を検査するためには、保険診療では胃カメラを行う必要があります。概ね40歳までには一度胃カメラを行い、ピロリ菌の有無を確認することが勧められています。胃カメラがどうしても嫌な場合は血液検査や便の検査を行いますが、自費での検査になります。ピロリ菌陽性だった場合は、除菌により将来的な胃がんや胃潰瘍のリスクを下げることができます。1週間の飲み薬で除菌を行なっており、70%は成功します。ピロリ菌が残った場合は種類を変えて除菌します。この2回の飲み薬の治療で95%はピロリ菌の治療が可能です。日本人全員が全員ピロリ菌を除菌して毎年胃カメラを受けたら胃がんで亡くなる方はほとんどいなくなります。当院では胃カメラは別医療機関と連携し行なっています。当院で予約や結果説明など行いますので、お気軽にご相談ください。

ピロリ菌感染していた場合は、除菌後も定期的な検査を行います。胃がんは発生から進行がんに至るまで平均的に2年ほどかかると言われており、ピロリ菌感染者は除菌後も年に1回の胃カメラを行います。ピロリ菌に感染していない場合は胃がん自体がまれであり定期的な検査は必須ではありません。しかしながら後述の食道がんの検査のためなど、数年に1回程度胃カメラの相談を致します。

 

食道がん

食道がんは胃がんより頻度が少ないです。アルコールに弱い人、タバコを吸う人、胃食道逆流症である人が頻度が多いと言われています。検査としては、胃カメラが早期がんの診断に有用です。ピロリ菌陰性の場合も、上の項目に当てはまる方は年に1回の胃カメラをお勧めしています。

 

大腸がん

大腸がんは進行がんであっても、初期は無症状です。そのため早期発見のためには定期的な検査が必要です。便潜血(便に血が混ざっているかの)検査、大腸カメラの2種類になります。一般的には40歳以上は少なくとも年に1回の便潜血検査を行なっています。自治体の大腸がん検診も年に1回の便潜血検査です。

大腸がんは急に進行することは少ないです。大腸がんの90%は、大腸ポリープが数年かけて大腸がんに進行したものです。大腸ポリープは遺伝的に「できやすい家系」の方もいます。ポリープがある際は、ポリープが再度できやすいため注意が必要です。胃がんより進行がゆっくりであり、一般的には3-5年に1回の大腸カメラでほとんどの大腸がんを早期に見つけることが可能です。当院では40歳以上で毎年便潜血、50歳以上で3-5年に1回大腸カメラを推奨しています。ポリープがある際は、もう少し頻繁に大腸カメラを行います。

 

肺がん

胃がんや大腸がんは定期的な内視鏡検査により多くが早期発見治療可能です。ただ肺がんは定期的に精密検査を行なってもメリットに乏しいと言われています。発見時点で既に進行していることが多いこと、精密検査であるCT検査自体で放射線被曝を受けることが挙げられます。最も有用な肺がんの予防は、積極的な検査ではなく禁煙です。当院では年に1回のレントゲン検査としています。CT検査や喀痰細胞診を定期的に行うのはリスクが高い方のみとしており、①喫煙者、②肺疾患患者さんに行なっています。受動喫煙者や家系内に肺がんの家族がいる場合などは個別に判断しますので、ご相談下さい。

 

肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がん

肝臓がんは主に肝疾患がある方に生じます。肝疾患にはウイルス性肝炎や脂肪肝、肝硬変、慢性肝炎が含まれます。当院では生活習慣病に対する腹部エコーの際に併せて肝臓の検査を行い、肝疾患や肝臓がんの検索を行なっています。肝臓がんの予防のためには、肝疾患にかからないことが大事です。ウイルス性肝炎は薬物治療可能であり、脂肪肝は早期に発見することで肝硬変や肝臓がんへの移行を防ぐことができます。腹部エコー検査も年に1回としています。

胆嚢がんは初期症状に乏しく、発見された時点で進行していることが多いです。胆嚢周囲には肝臓や膵臓などの重要組織があり、見つかった時点で周囲の組織まで及んでいることがあります。胆嚢がんの検査にもやはり腹部エコーが有用です。場合によってはMRI検査を併用します。

膵臓がんは、がんの中でも早期発見が困難であることが知られています。膵臓にあるがんが数センチであっても、周囲の血管やリンパ管に及び転移してしまうこともあります。腹部エコーで検査を行うことが一般的ですが、膵臓は背中側にありエコーでは十分観察できないことがあります。そのような際はMRI検査を併用して検査しています。

 

膀胱がん

生活習慣病の診療の際に尿検査を定期的に行います。その際に血尿(尿に血が混ざっている)があった際に膀胱がんの検査を行います。尿の細胞診や腹部エコーを行います。疑いが強い場合は膀胱鏡という検査を他院に依頼致します。

 

前立腺がん

前立腺は男性だけにある臓器であり、前立腺がんは50歳以上の男性に多いです。前立腺がんは血液検査による定期検診の有用性が示されています。50歳以上の方に年に1回検査しています。PSAという値であり、4.ong/ml以下:陰性、4.1-10ng/ml:グレーゾーン、10ng/ml以上:陽性 としています。グレーゾーンの場合は、エコーやMRIで精密検査をしています。陽性である場合は泌尿器科に紹介としています。80歳以上になると多くの方が前立腺肥大症を生じ、前立腺がんの有無に関わらず一定の確率でPSAが上昇します。患者さんの意向や背景を踏まえ検査を行うか判断致します。

 

乳がん、子宮がん

乳がんの早期発見のためにはマンモグラフィー、子宮がんの早期発見のためには細胞診、エコー検査が一般的です。乳がん検診は40歳から2年に1回、子宮頸がん検診は20歳から2年に1回と言われています。当院では検査は行なっていませんので、婦人科へご案内していますし、必要であれば情報提供します。20歳を超えた女性の方は、少なくとも1年に1回から2年に1回婦人科での定期検診をご説明しています。

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