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認知症にはどんな種類がある?

[2022.05.01]

 

『認知症にはどういう種類があるのか』ということについて解説していこうかと思います。

 

認知症とは

まず認知症とは認知機能が後天的な脳の障害により低下し、日常生活や社会生活に支障を来たす病気です。どんな後天的な脳の障害によって起きるか ということによって認知症はいくつかの種類に分類されています。認知症という言葉は単なる状態です。認知症と言ってもそれぞれによって原因が異なります。認知症を起こす病気は一説には百種類以上あると言われています。4大認知症、主な4つの認知症を中心に解説していこうかと思います。

 

4大認知症とは

  1. アルツハイマー型認知症
  2. 脳血管性認知症
  3. レビー小体型認知症
  4. 前頭側頭型認知症

この4つを4大認知症と呼んでいます。他にもさまざまな認知症がありますが、一般診療で出会う認知症の大部分はこの4つです。他にも認知症とは厳密には異なるんですが、認知症と勘違いされやすい病気

  • 内科疾患:ビタミン欠乏症、甲状腺機能低下症など
  • 脳神経外科疾患:正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫など

は認知症と似た症状を起こします。

 

1. アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は認知症の原因として最多です。認知症の6-7割を占めます。糖尿病や高血圧症がアルツハイマー型認知症のリスクになります。75歳以上の方に多いです。アルツハイマー型認知症は2つのタンパク質が関与しているとされています

  • タウ蛋白
  • アミロイドβ蛋白

この2つのタンパク質が脳の神経細胞の周りに溜まって、脳の神経細胞に障害を及ぼしてしまいます。最終的に脳の神経細胞が死滅してしまって、脳の機能が低下してしまいます。これがアルツハイマー型認知症の原因とされています。アルツハイマー型認知症は、脳の海馬という部分に障害を起こします。海馬は記憶をつかさどる部分です。海馬に始めに障害を起こしてそこから脳全体に広がっていくとされています。そのためもの忘れが初期症状として多いです。進行していくと家事ができなくなってしまったり、迷子になってしまったりという症状を起こします。

 

2.脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳卒中によっておきます。アルツハイマー型認知症の次に多い認知症です。脳血管性認知症の特徴は麻痺や歩行障害、呂律障害(うまく舌が回らない、うまく言葉を話せない)といった体の症状を合併することが多いです。不安や焦り、怒りっぽくなってしまう といった感情のコントロール障害を起こすこともあります。アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の違い日常診療でも問題になることが多いです。一般的な特徴として

アルツハイマー型認知症は

  • 物忘れが初期症状
  • 体の症状はない、もしくは軽い

脳血管性認知症は

  • 物忘れ以外の症状が目立つ
  • ふらつきが強い、麻痺などの体の症状がある
  • 物忘れが進行する前に家事がうまくできなくなったり性格変化を生じる

といった特徴があります。しかし症状だけで完全に見分けるのは難しいです。MRIで脳の血管の病気があるのかを調べています。

 

3. レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は脳にレビー小体という物質が形成されて生じます。レビー小体型認知症の特徴は下の4つです。

  • 幻視
  • 認知機能の変動
  • レム睡眠行動障害
  • 手足が動かしにくくなったり震えが起きる

レビー小体型認知症は後頭葉という頭の後ろの部分に障害が起きやすいです。後頭葉は視覚をコントロールしている脳の部位です。そのためレビー小体型認知症では幻視が起きやすいです。はっきりと具体的なものが見えるのがレビー小体型認知症の特徴です。

また認知機能が時間とともに変動します。日によって調子がいい日と悪い日があったりすることがあります。

寝ている時に手足をバタバタ動かしたりすることがあります。これをレム睡眠行動障害と呼んでいます。手足が動かしにくくなったり震えなどの症状を起こすこともあります。レビー小体型認知症はもの忘れが初期症状であることは少ないです。

 

4. 前頭側頭型認知症

脳の前頭葉という前の部分や、側頭葉という横側の部分に障害を起こす認知症です。前頭側頭型認知症は40歳代から60歳代という比較的若い方に起きることもあります。前頭葉側頭葉は人格、社会性、言語などの機能を持ちます。前頭側頭型認知症では下のような症状を起こします。

  • 社会性の欠如
  • 脱抑制
  • 性格の変化
  • 言語障害

社会性の欠如とは、万引きで警察に捕まってしまったり信号無視で交通事故を起こしてしまったりします。脱抑制というのは専門的な用語なんですが「我慢がきかなくなる」という意味です。ちょっとしたことでカッとなって人に暴力をふるってしまったりすることもあります。性格が攻撃的になったり、言葉をうまく理解できなかったりという症状を起こすこともあります。

 

認知症と間違われやすい病気

その他に認知症と間違われやすい病気として

  • ビタミン欠乏症
  • 甲状腺機能低下症
  • 正常圧水頭症慢性硬膜下血腫

などが挙げられます。これらの病気は血液検査や頭のMRI検査で診断することが多いです。

認知症は脳の病気です。認知症では脳の神経細胞が多少なりとも障害を受けてしまいます。薬によって残った神経細胞の活性を上げて、症状を和らげます。しかしながら現実的に、認知症が完全に治ることは少ないです。

しかしこの上にあげた4つは治療により劇的に改善することがあります。そういった意味で認知症の症状をきたしている時は、ビタミン欠乏症や甲状腺機能低下症、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫ではないかというのはしっかり調べることが大切です。

 

まとめ

認知症にはどういう種類があるのか?

  1. アルツハイマー型認知症
  2. 脳血管性認知症
  3. レビー小体型認知症
  4. 前頭側頭型認知症

この4つを4大認知症と呼んでいます。その他に認知症に間違えられやすい病気として

  • 内科疾患 ビタミン欠乏や甲状腺機能低下症
  • 脳神経外科疾患 正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫

などが挙げられます。

以上 認知症にはどういう種類がある?についてでした。

下のページで認知症、もの忘れ外来について解説していますのでよければお読み下さい。

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