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脈が早いけど大丈夫?【循環器内科医による解説】

[2022.06.24]

 

『脈が早いけど大丈夫?』というテーマで解説していこうかと思います。

 

脈とは

まず脈とは一定の時間に心臓が拍動する回数です。手軽に脈を測れるのは手首です。一分間に何回脈がうつかを脈拍数と呼んでます。健康診断の脈拍数の正常値は50-100/分です。

脈が50/分未満のことを徐脈

脈拍数が100/分以上のことを頻脈

と呼びます。

脈は自律神経の影響を受けます。例えば走ったり運動した時は脈が早くなります。寝ている時は脈が遅くなります。

 

脈が早くなる原因

脈が早くなる原因としては

  • 自律神経(交感神経)
  • 一部の薬
  • 電解質やホルモンの異常
  • 不整脈

が挙げられます。一番多いのは自律神経(交感神経)の働きによる頻脈です。緊張している時、運動している時、風邪などで熱がある時に脈が早くなります。一部の薬や電解質やホルモンの異常で脈が早くなることもあります。また不整脈を起こすと脈が早くなることがあります。

 

正常な脈

不整脈の解説の前に、まず正常な心臓の電気の流れについて解説します。心臓にはいくつか部屋があります。4つ部屋があって

上の部屋を心房

下の部屋を心室

と呼んでいます。通常の脈は上の心房から電気が生じて、電気が上から下に流れることによって心臓は収縮しています。

 

脈が早い不整脈

脈が早い不整脈はこの4つです。

  1. 洞性頻脈
  2. 上室性頻脈
  3. 頻脈性心房細動
  4. 心室頻拍

になります。

 

1 洞性頻脈

洞性頻脈は「電気の流れは正常通り、上の心房から心室に流れてるが、脈が100回以上」という状態です。洞性頻脈は自律神経の問題で脈が早いことが多いです。緊張したり運動して脈が早い時は洞性頻脈になります。洞性頻脈に対して治療することはほとんどありません。

 

上室性頻脈

上室というのは「心室の上」です。心室の上にある心房が関与している不整脈です。上室性頻脈は、1分間に脈が180回や200回といった高度な頻脈になることもあります。ほとんどの場合、頻脈が急に始まって急に終わります。症状としては動悸、息切れ、胸痛、ひどい場合は意識を失ってしまうこともあります。上室性頻脈は発作時、つまり症状がある時の心電図で診断します。薬の治療よりカテーテル治療の方が一般的に効果が高いです。

 

頻脈性心房細動

心房細動は脈がバラバラな不整脈で脳梗塞や心不全の原因になる不整脈です。心房細動は心房(心臓の上の部屋)から電気が不規則に生じることが原因です。心房細動は最初のうちは「たまに心房細動になる」という発作性心房細動という状態です。心房細動の脈が速くなってしまった場合は動悸、息切れ、胸痛などが起きます。

 

頻脈性心房細動と上室性頻脈の違い

頻脈性心房細動は「脈がバラバラである」ことがポイントです。ほんのわずかな差であるんですが、非常に大きな違いです。頻脈性心房細動は脳梗塞や心不全の原因になるような悪性の不整脈 と考えてもらった方がいいと思います。

 

心室頻拍

心室頻拍は失神や突然死を起こす、非常に怖い不整脈です。ただ頻度としては少ないのでここで細かい解説は割愛いたします。

 

まとめ

1 洞性頻脈:正常な電気の流れで脈拍数が1分間に100回を超えている状態

2 上室性頻脈:心室の上、心房が関与して生じる頻脈

3 頻脈性心房細動:脈がバラバラな不整脈

治療としては

1 洞性頻脈はほとんどの場合治療が必要になることはありません。

2 上室性頻脈はカテーテル治療を行うことができます。

3 頻脈性心房細動は脳梗塞や心不全を予防するために、薬が必要であることがほとんどです。プラスアルファでカテーテル治療が可能なことが多いです。

 

以上脈が早い不整脈 についてでした。

まず心電図でどれにあたるのかを診断しましょう。

 

下のページで不整脈について解説しています。よければお読み下さい。

不整脈

心房細動

心房細動/不整脈外来

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