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アリセプトを飲むと認知症が悪化する?

[2022.02.08]

みなさんこんにちは。看護師の鈴木です。普段色々な方とお話していると、「認知症の薬は効かない」とか「アリセプトを飲んだら症状が悪化した」などのお話を聞くことがあります。認知症の薬にはどのような種類があるのか、効果や副作用についてお話したいと思います。


認知症の薬の種類

基本的には4種類あります。その中でも以下の2つに分類されます。これらのお薬は認知症の進行を緩やかにするもので、症状を治すお薬ではありません。

 

コリンエステラーゼ阻害薬 NMDA受容体拮抗薬

・アリセプト

・レミニール

・リバスタッチ

・メマリー


コリンエステラーゼ阻害薬は神経伝達物質が減るのを抑え、情報の伝達をスムーズにするお薬です。

MNDA受容体拮抗薬は、過剰なカルシウムイオンの流入をブロックし、記憶の情報伝達を整えるとともに神経細胞を守る薬です。


コリンエステラーゼ阻害薬の代表的な薬はアリセプトです。認知症の診断を受け、薬物療法の必要がある患者さんはアリセプトを処方されることがほとんどです。効果と副作用を見ながら量を調整たり、他の薬に変更したりします。効果よりも副作用のほうが強く出てしまう場合は、本人や家族と相談した上で中止することも選択肢としてあります。


アリセプトを飲むと認知症が悪化する?

内服する前に比べて怒りっぽくなったりイライラするようになって「認知症の症状が悪化した」とご家族から話を聞くことがあります。これは、薬による影響の可能性が考えられます。アリセプトは、神経の活動が活発になるので、周囲の刺激に対して感受性が高くなります。これによって、怒りっぽくなったり、イライラしてしまうという副作用がみられることがあります。これは、全ての人にみられるわけではありません。本人が過度に攻撃的になってしまい、家族も負担が強い場合は、医師と相談しお薬を中止したり、調整を行います。


アリセプトによる効果

認知症の症状によって、無気力(アパシー)の状態になっている方は、アリセプトを内服することによって活気がでたり、活動への意欲が改善することがあります。また、認知症の初期の方は、「脳のモヤモヤがとれてハッキリした気がする」とお話する方もおり、効果を実感できる方もいます。


薬以外の影響で症状が悪化しているかも…

認知症と診断されると、ご家族はショックで不安を抱えてしまうと思います。それはご本人も一緒です。診断された直後は一番不安定になりやすい時期です。自分自身を責めたり、落ち込んだり、うまくいかないことに苛立ってしまうことが多くあると思います。認知症でない人でも、ショックを受けるような出来事があったら不安になるし、周りに対してイライラしてしまうのと一緒です。薬のせいと思い込まずに、本人がどんなことを不安に思っているのか、お話をゆっくり聞いて一つ一つ解決していくことで、症状が落ち着くこともあるので、本人の思いに立って話を聞くということも大切です。


おわりに

アリセプトを内服することによって、薬の作用により、怒りっぽくなったり攻撃的になることはありますが、認知症が悪化することはありません。内服を続けることのメリットとデメリットを考慮した上で今後の治療を考えていくので、普段の本人の様子やご家族が不安に思っていることなど、些細なことでも良いので、医師や看護師に相談していただければと思います。

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