メニュー

30代で健康診断で異常なくても心房細動?【循環器専門医による解説】

[2025.06.08]

 

健康診断で異常なしでも心房細動は起こる?肥満と心房細動の関係は?

読者の皆さんにも参考になるよう、頂いたご質問への回答をブログ記事として紹介させていただきます。個人情報に関わる部分は一部変更していますので、ご安心ください。

「はじめまして。30代男性、体重100kgです。動悸や発汗が激しくなり、病院で心房細動と診断されました。健康診断で異常がない人でも心房細動は起きるのでしょうか?体重を落とし生活習慣を改善すれば再発しない可能性は高いでしょうか?」

突然「心房細動」と診断されて、不安を感じていらっしゃるお気持ち、お察しいたします。今回の質問のポイントは2つあります。
1.健康診断で異常がなくても、急に心房細動になることがあるのか?

2.心房細動と診断されたけど、生活習慣を改善すれば治るのか?
この2つの疑問について、詳しく解説していきましょう。


1. 健康診断で異常がなくても心房細動は起こる?

健康診断で特に異常が見つからなかった方でも、心房細動を発症することはあります。
心房細動は、加齢とともに発症リスクが高まる病気です。一般的には高血圧症や糖尿病といった生活習慣病との関連が指摘されています。近年では肥満や睡眠時無呼吸症候群との関連も報告されています。
また、ごく少数ながらも、特にリスクがない比較的若い方でも心房細動を発症するケースがあります。これは心臓の心房という部分の心筋が変化していることが原因とされており、原因となる遺伝子異常も数多く報告されています。
健康診断の項目だけでは、これらの潜在的なリスクをすべて把握しきれない場合があります。そのため、健康診断で異常がなかったとしても、動悸や息切れ、胸の不快感などの症状が現れた場合は、放置せずに医療機関を受診することが非常に重要です。

2. 生活習慣を改善すれば心房細動は治る?再発はしない?

体重を落とし生活習慣を改善することは、心房細動の再発リスクを下げる上で非常に重要です。

一般的に、肥満は心房細動のリスクを高める要因の一つとされています。質問者さんのように体重が100kgある場合、心臓に大きな負担がかかっている可能性があります。体重を減らし、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒といった生活習慣の改善を行うことは、心臓への負担を軽減し、心房細動の再発リスクを下げる上で非常に効果的です。
ただし、心房細動の原因は一つだけではありません。加齢、高血圧、糖尿病、心不全、弁膜症、甲状腺機能亢進症など、他の病気が関与している場合もあります。そのため、生活習慣の改善だけで完全に心房細動の再発を防げるかどうかは、これらの他の要因にも左右されます。


今回のケースではどうすればいい?具体的な治療と対策

質問者さんの具体的なケースでは、以下の点を確認し、治療や対策を検討していくことになります。

・高血圧症、糖尿病、心不全、脳梗塞の既往があるか。
・年齢が65歳以上または75歳以上に該当するか。


もし上記いずれかに当てはまる場合は、脳梗塞を予防するために血液をサラサラにする薬を使用します。また、甲状腺疾患や睡眠時無呼吸症候群も心房細動の原因となることがあるため、これらの検査も行います。
検査の結果、いずれも問題がなく、心房細動が自然に停止した場合は、薬を使わずに経過観察となることもあります。そして、体重を適正範囲にコントロールすることは、心房細動の再発を減少させるためにも非常に有効なので、ダイエットはぜひとも取り組んでいただきたいです。
それでも短期間で心房細動の発作を繰り返す場合は、カテーテル治療が検討されます。
突然心房細動を発症して不安に感じると思いますが、心房細動は不治の病ではありません。有効な治療法は確立されており、予防法も存在します。今回の診断を機に生活習慣の改善を意識し、必要な検査や治療をきちんと受けるようにしましょう。
心房細動について、何かご不明な点やさらに詳しく知りたいことがあれば、お気軽にご質問ください。

 

心房細動

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME