期外収縮って何?【循環器内科医による解説】
今日は『期外収縮って何?』ということについて解説していこうかと思います。
はじめに
まず期外収縮とは不整脈の1つです。正常なタイミングと異なるタイミングで出現する脈を、期外収縮と呼んでいます。正常な時「期」以「外」で「収縮」するため、期外収縮と呼んでいます。期外収縮が起きると脈が飛びます。
ドクン ドクン ドクドクン ドクン
といった具合に脈が飛びます。ご自身で手首で脈を取ると、期外収縮が生じたときは脈は飛びます。
期外収縮はなぜ起きるか?
少し細かい内容なので、不要な方は読み飛ばしてください。
期外収縮は正常なタイミングと異なるタイミングで起きる心臓の収縮です。心臓は筋肉の細胞、心筋細胞の塊です。心筋細胞がたくさん集まって心臓ができています。一つ一つそれぞれの心筋細胞が一定の間隔で収縮する性能を持っています。なので心臓の筋肉の細胞一つを取り出して観察すると、一定のリズムでピクピクと動きます。一番早く収縮した心筋細胞から、電気が心臓全体に流れます。そうすると心臓が一気に「ビュン」と収縮して脈が起きます。正常な脈は電気が心臓の右上の部屋、洞結節という場所から生じます。そこから収縮が始まって電気が左下方向に流れます。
正常な脈
何らかの原因でこの黄色い星以外の部分の筋細胞が早く収縮するとどうなるでしょうか?例えば心臓の下の赤い星の部分が先に収縮すると、期外収縮が起きます。
期外収縮
これはなぜ起きるのでしょうか。まず明らかな原因がなくても期外収縮は起こります。自律神経(内臓を支配している神経)の異常や心臓の病気で起きることがあります。ただ期外収縮をきっかけに心臓の病気が見つかることは少なくて、自律神経の問題だったりすることが多いです。では期外収縮が起きるとどうなるでしょう?
期外収縮が起きると
正常な脈は
ドクン ドクン ドクン と
同じ右上の洞結節から規則正しく脈が打ってます。
そこに赤い部分から期外収縮が生じると
ドクドクン ドクン ドクン
といった具合に脈が飛びます。そのため期外収縮が起きると脈が飛びます。
期外収取は危ない?
期外収縮は最も多い不整脈であり、健康診断で言われたことがある方もいらっしゃると思います。
- 期外収縮って危ないの?
- どうすればいいの?
と思う方もいらっしゃると思います。まず前提として期外収縮は誰にでもあると思ってもらった方がいいと思います。例としてアメリカの大学生、健康な大学生に24時間心電図を付けてどれぐらいの方が期外収縮があるか調べた研究があります。99%以上の方が1日に1回以上の期外収縮を起こしていました。我々循環器内科医は24時間心電図、ホルター心電図と呼ばれる検査を行なっております。24時間心電図をつけて不整脈があるかを調べていますが、期外収縮が24時間で1回もなかった方はほとんどいません。思い出す限りでは2, 3回だけかなと思います。99%以上の方は期外収縮を1日1回以上有しています。通常1日100回ぐらいの期外収縮が出現しています。
治療が必要な期外収縮のポイント3つ
では期外収縮は誰にでもあるのになんであえてこういう病名があるのかと言うと、いくつか危険な期外収縮のポイントがあります。
- どれぐらいの頻度で期外収縮が起きているか
- 心臓病があるか
- 症状があるか
この3つがポイントになります。
1. 期外収縮の頻度
まずどれぐらいの頻度で期外収縮が起きているかについてです。期外収縮が心臓の脈全体の10-20%以上だと、将来的な心不全のリスクになる と言われています。平均的に1日の人間の心拍数は10万回ぐらいです。1日2万回以上だと20%以上です。20%を超えると心不全のリスクを回避するために何らかの治療、この場合はカテーテル治療を行った方がいいんじゃないかと言われています。10%や15%の時はどうするかと言うと、期外収縮が10-15%の場合は少し経過を見て半年に1度検査したり、患者さんの年齢や背景を考慮してカテーテル治療をする、そういった選択を一緒に検討していきます。逆に言うと10%以下、具体的には1日数百発、数千発の場合は、頻度が少ないためあまり気にする必要はないと思います。
2. 心臓病による期外収縮
期外収縮自体が大きな悪さをしないものであっても、心臓病があることによって期外収縮を起こしていることがあります。心電図やレントゲン、自覚症状などから疑わしい場合は心臓の超音波検査などで精密検査を行っています。
3. 症状があるかどうか
『期外収縮は誰にでもある』と書きましたが、脈が飛ぶのを感じたことがある人はそこまで多くないと思います。そもそもほとんどの成人は1日100回ぐらい期外収縮を起こしていますが、症状はあまりないと思います。非常に敏感な方だと脈が飛ぶのが分かるようですが、期外収縮で強い症状を起こすことは少ないと思います。非常に強い症状でなければ基本的にはあまり治療する必要がありません。
期外収縮の大部分は、、、
期外収縮の方の99%は
- 頻度が少なく
- 心臓病でもなく
- 症状はない、もしくは軽い
です。なので期外収縮があっても健康診断では、場合によっては経過観察となってると思います。期外収縮はほとんどの場合は治療する必要はありません。特に心配する必要もありません。
期外収縮の方へ
心臓が生まれてから亡くなるまでずーっと同じリズムを刻んでいたら、それはそれで理想かもしれないです。ただどうしても人体なので多少ずれたりとかすることはあると思います。そのためたまに脈が飛んだりはしますがそれ自体は大きな心配はないです
と期外収縮の方には私自身は説明しています。
以上 期外収縮って何? についてでした。