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障害反応仮説

動脈の内膜の細胞は血液に接してます。内膜で障害が起きた時にコレステロールが沈着しプラークが生じるという考え方です。障害というのは高血圧による微細な傷や、糖尿病による炎症が多いと言われています。

ここで言うコレステロールとは、主にLDLコレステロールを指します。障害反応仮説では、

  1. ある程度の量のLDLコレステロールが血液内に存在する
  2. 血管の内膜で障害が起きる=LDLの質の異常が生じている

という2つのことが重なった時に起こります。

 

A.ある程度の量のLDLコレステロールが血液内に存在する

LDLコレステロールが血液中に多い時に満たします。LDLコレステロールにはいくつか基準値があります。LDL 140以上を高LDL血症と呼んでいます。LDL 120以上を境界型と呼んでおり、糖尿病や慢性腎不全の場合はLDL 120以下を目標に治療します。併存疾患がなければLDL 160を一つの薬剤投与の基準としています。LDLが低下することによる有害事象は一般的にはありません。LDL 25までは全く問題ない と考えています。the lower, the betterという言葉があり、基本的に低ければ低い方がいいです。脂質異常症のページで細かく解説しています。

脂質異常症

もちろんLDLが下がることには問題がなくても、下げる薬の副作用が起こることがあります。保険適応や社会全体の利益を考慮し、併存疾患がなくLDLが正常範囲の場合は投薬は行なっていません。

 

B.血管の内膜で障害が起きる=LDLの質の異常が生じている

血管の内膜の障害には様々な因子が関与していますが、「LDLの質の異常」とまとめて呼んでます。この言葉をLDLのみではなく、LDLが沈着する血管内膜を含めたLDL-血管内膜複合体の質の異常、という意味で使用しています。LDLが正常範囲にも関わらず心筋梗塞を起こす方は珍しくありません。そういった方はLDLの質の異常をきたしていると捉えています。LDLの数は正常ですが、LDLもしくは血管内膜の問題によりLDLが沈着しやすい と考えられます。実際にLDLが正常であっても心筋梗塞を起こした方には、スタチンというLDLコレステロールの薬が非常に有効であり、標準治療とされて今す。スタチンはLDLの数も減らしますし質も改善させるのです。血管が狭くなってしまう動脈硬化の予防には、高血圧症や糖尿病といった明らかな誘因の治療と共に、とにかくスタチンが大事だと考えています。

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