メニュー

糖尿病の症状

高血糖による症状

糖尿病では血糖値が上昇します。喉が乾きやすくなったり倦怠感や体重が減少します。高血糖による症状が出現するのはかなり進行した糖尿病です。年に1回の健康診断を受けていれば、高血糖による症状が生じる前に糖尿病が見つかることがほとんどです。糖尿病の症状の多くは合併症による症状です。合併症は神経症状や網膜症、腎症などがあり、下記に記載します。

 

神経障害

神経障害で最も多いのは手足のしびれです。進行すると起立性低血圧や手足の痛みを生じることもあります。糖尿病を長年患ってる方で、何年も足の痛みを感じている方がいます。この症状は糖尿病によるものであり、病態も対処法も解明しています。「しびれ」のページで解説する多発ニューロパチーに当たりますので、よければお読みください。

糖尿病性神経障害

 

網膜症

当院では糖尿病診断時から毎年眼科受診をお願いしています。日本の失明の最多原因は糖尿病性網膜症です。幸い、糖尿病にかかってすぐに失明することは通常ありません。糖尿病にかかって数年から10年で網膜症が生じ、その後徐々に進行します。また血糖コントロールにより網膜症を防ぐことも可能です。また網膜症が出現しても眼科での処置により進行を抑えることも可能です。視力が低下した状態ではなかなか進行を抑えることが難しいことが多いです。

 

腎症

腎症は、進行すると腎不全に至り血液透析が必要になります。透析が必要となる最多の原因は糖尿病です。2018年の新規に透析を開始した方の42.3%は糖尿病性腎症が原因です。

腎症も血糖コントロールにより発症や進行を抑えることが可能です。腎症は進行するまで自覚症状を来すことはなく、定期的な検査が必要です。血液検査でeGFR、尿検査で尿蛋白を測定します。

eGFR60以下、もしくは尿蛋白が陽性であると糖尿病性腎症と呼びます。糖尿病性腎症は、糖尿病罹患後10-15年経過して生じることが多いです。eGFRは糸球体濾過量と呼ばれており、60以下が継続する場合に慢性腎不全と呼んでいます。10を下回ると血液透析が必要となることが多いです。健常人においてもeGFRは年0.5ずつ低下すると言われています。糖尿病性腎症ではeGFRの低下が速いことが多く、年4以上低下していくこともあります。そのような時は何らかの対処を考慮する必要があります。当院では糖尿病性腎症の場合eGFRの低下速度を計算しています。下記は日本糖尿病協会が公開している腎機能チェックツールであり参考としています。詳しくは慢性腎不全についてのページをお読みください。

慢性腎不全

腎機能チェックツール

 

認知症

神経障害、網膜症、腎症を3大合併症と呼びます。現在は認知症もこれらと同じ合併症の一つと考えられています。認知症は別ページで詳細に解説しますが、糖尿病に罹患するとアルツハイマー型認知症に約1.5倍、脳血管性認知症に約2.5倍なりやすいと言われています。糖尿病による血管障害や、低血糖による神経障害が関与しています。認知症の予防という観点からも、生活習慣病の適切な管理が最も大切です。糖尿病治療は将来的な認知症予防につながると考え、積極的な治療を行なっています。詳しくは認知症についてのページをお読みください。

認知症

 

心血管疾患

糖尿病の場合は、心不全や狭心症/心筋梗塞、脳梗塞に罹患する可能性が上昇します。神経障害や網膜症は主に細かい血管障害により引き起こされます。細かい血管障害は血糖コントロールにより合併症の進展を防ぐことが可能です。しかし糖尿病は比較的大きい血管にも障害を起こします。一般的に言う動脈硬化は比較的大きい血管を指します。脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血管はこちらに属します。細かい血管障害に関しては薬剤調整や血糖コントロールにより進展を防ぐことが可能ですが、大きい血管障害は糖尿病に対する薬剤のみでは進行を大きく防ぐことは困難です。血圧やコレステロールなどの管理が大切であり、当院では糖尿病の方に対して積極的に血圧やコレステロールの治療を行なっています。高血圧治療ガイドライン2019では、糖尿病に合併した高血圧の降圧目標は家庭血圧125/75mmHg未満と厳格な血圧コントロールを推奨しています。なお高血圧に対する薬は、アンギオテンシンII受容体拮抗薬を第一選択にしています。理由は糖尿病性腎症に対する腎保護作用を有するからです。特別な理由がなければ必ずアンギオテンシンII受容体拮抗薬を使用しています。LDLに関しても120以下という厳格なコントロールが推奨されています。心血管疾患の管理のためには血糖のみではなく、包括的な管理や治療が必要です。

 

感染症、足壊疽

他に糖尿病は感染症を生じやすいことも知られています。高血糖状態が続くと、白血球の機能が低下し免疫が低下します。また足の血流が低下し、傷がなかなか治りづらいこともあります。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME